性教協えひめサークル
全国組織としての一般社団法人“人間と性”教育研究協議会(性教協)の紹介
1982年1月から、山本直英さんと村瀬幸浩さんら発起人の方が集まって準備会や世話人会を重ねて準備され、4月24日に結成大会が開かれました。その結成大会の案内を報じる朝日新聞記事の中で山本直英さんが、性教育の基本方向を「性を人間の一生の中に積極的に位置づけ、実りある人間関係を築いていく力を培う」点に置くと述べられていました。発起人の方々の性教育に対する熱また確固たる思いがつまったのが、次の設立趣意書です。えひめサークルの活動も、この趣意書に述べられていることを大切にして活動を続けてきました。
■ 設立趣意書
性は人間にとって、その生き方や人格を左右するほどに重要な課題である。しかしながら今日、性をめぐる社会や文化の状況は危機的・退廃的ともいわれ、そうした中で性教育の必要性が叫ばれてきた。
しかも、この性教育への期待の中には、道徳主義的・純潔至上主義的な傾向も根強く、歴史を逆行させる恐れすらみられる。私たちは現在性の状況が、とりわけ子どもを混乱させていることを憂慮するものではあるが、それが人間の歴史の中で解放の側面を持っていることも見逃してはなるまい。
私たちが考える性教育の基本方向は、日本の歴史が歴史的に作り上げてきた性への偏見を払拭し、ヒューマンセクシュアリティとしての豊かな性を人間の一生の中に積極的に位置づけ、さらに実りある人間関係を築いてゆく力を培うことにある。それは憲法と教育基本法にある男女の対等性を基礎に、科学と人間の尊重の思想をこの分野の教育に貫くことでもある。そのために私たちは歴史的遺産を受け継ぎ、関係する諸分野の学問的成果を学び取りながらお互いの研究と実践をすすめ、日本の社会に人間性豊かな性文化を創造していくためにこの会を設立する。 1982年4月
■“人間と性”教育研究協議会(性教協)の紹介
“人間と性”教育研究協議会(性教協)は「科学・人権・自立・共生」の4つのキーワードをもとに、子どもの切実な要求にこたえ、正確な情報を伝え、子どもとともに「性」のあり方や生き方を考えて、たくさんの性教育の実践を積み重ねてきた民間の教育研究団体で、全国で各地です。40を超えるサークルが活動中です。
実際に、学校・地域・家庭での性教育実践を交流・創造するだけでなく、その活動の中で、自分自身の「性・生」のあり方を問い直し、新しく、充実した「生」を模索する活気にあふれています。あなたも、性教協で新しい「自分らしい」生き方をいっしょに探してみませんか?
■主な活動
1)夏休み・全国夏期セミナーの開催
模擬授業では、参加者が生徒になって授業を受け、具体的に実践を深めます。分科会では性に関する様々なテーマで学習と交流が行われます。
それに加えて、講演や理論講座・トークライブなど多様なプログラムがあり、充実した3(2)日間です。
2)「理論と実践講座」の開催
毎年1月に、その年ごとのテーマを深めるために、講演・問題提起・シンポジウムを中心とした学習会が開かれます。分科会での交流も好評です。
3)会報の発行
年10回、最近の「性」をめぐる最新情報、および性教協(各サークルも)の活動報告など、盛りだくさんの内容の会報をお届けします。とても充実した内容です。
4)性教育の本・雑誌の出版
性教育の実践に役立つ本から、理論書までたくさんの本を出版しています。エイデル研究所から季刊で出版している、性教協編集の『季刊 セクシュアリティ』は日本で唯一の性教育に関する雑誌です。
■エイデル出版「季刊セクシュアリティ」
性に関する優れた論文や実践が、毎号のテーマに沿ってぎっしり詰まっています。えひめサークルの実践も、たくさん載せていただきました。最新の情報も、授業などですぐに生かせそうな写真や絵なども多く、大変参考になります。定期購読で、手元に届きます。
学習会などにも、活用することで、実践がさらに幅をもち、深まりも生まれます。
性協教のHPから定期購読の申し込みができるフォームにつながります。
性協教ってこんなところです
「心地がいい」「安心していられる」
サークルの仲間が集まると、こんな気持ちをもてます全国の仲間もそうです。ある男性会員の方からこんな話を聞きました。その方は、もう30年も前に育児休暇をとった方です。今でさえ、男性に育休取得はとっても珍しいですがその時代に育休をとったなんて、どれだけ意識が高いのだろう、と思ったら、「いやいや、結婚すれば『おいビール』といえばビールが出てくるもんだ」と思っていたとのこと。では、どうして?
同僚の養護教諭(今思えば、性協教立ち上げの時からメンバーだった大先輩の方です)の方が受け持ちの6年生に性教育の授業をやりたいと言われ、その授業を見て大きな衝撃を受け、一緒に性を学ぶようになって自分が変わっていったとのことでした。そうです、性の学びは「生き方」を大きく変える力があるのです。
「心地よさ」「安心感」をどうして感じるのか考えてみました。サークルの仲間は、性の学びによって自分自身の生き方に真摯に向かい合い、自分自身を大切に生きていこうという気持ちをもつ者の集団であり、それはそのまま、自分と同様にほかの人も尊重し大切にしようとする者の集団となっているからだと思います。学びの仲間として互いの意見や実践を尊重しつつ、人として認められている安心感の中で活動できる、それが性協教です。
子どもたちに「自分も大切に、相手も大切にできる人になってね」という願いを込めて実践をしている大人自身も、性を学んで自分の生き方を豊かにしているのです。